終了しました~
4月から開始して10月1日で10回のクールを終了いたしました。
今回のエリザの会に参加してくださった皆様、
このブログのコメントやメールで参加してくださった皆様、
本当にありがとうございました。
これまで3回にわたりまして、
『不思議現象-子どもの心と教育』 菊池聡・木下幸司編著 北大路書房
「八章 不思議現象と精神科臨床」(今泉寿明)
を読みながら、「三た論法」の危うさというものをお話ししてきました。
医療でも、看護でも、精神(心理)療法でも、
エビデンスに基づいているかを基本に考えるようになりました。
その効果に根拠はあるか?という事です。
根拠は「体験談」ではありません。
治療者の「効いた」という実感でもありません。
厳密には二重盲験という実験デザインで実証されたものをいいます。
人間の感覚、体験はたいへんあやふやで、
ある薬剤(治療法)を使っだけで、治療者側も患者も「効いた」ような気がしてしまいます。
そこで、そうした歪みが生じないよう、
①被験者を実験群と統制群に無作為にわけ
②治療者も患者もそれが実際の薬剤か偽薬(プラセボ)かわからないように
③それぞれ薬剤かプラセボを投与したうえでお薬の効果の評定をする
という方法をとります。
プラセボでも効果は現れることがしばしばです。
プラセボ以上に効果がない薬剤(治療法)に国民のお金を使うことはムダなので、
保険も使えないし、医療の現場で標準となることもないわけです。
二重盲験ほど厳密でなくても、
無作為に実験群と統制群の2グループに分けた上で、
偶然に効いた以上の効果があったかどうか、統計的に検証されていなければなりません。
ところが、私達がしばしば目にする健康情報は
「私はこれで治った(効いた)」
「こんなに反響があった」
というものばかりです。
新聞広告でも、インターネット上の情報でもこの
「体験談」を沢山かかげているものばかりです。
エビデンスのあるものはこんな宣伝の仕方をする必要はありません。
つまり、体験談や喜びの声や90%の人に効果が!なんていうものばかりの情報は
根拠がないから、こういう方法で宣伝するしかないのだ、と思ってください。
ある物質(治療法)を摂ってみた(やってみた)→病気が治った、改善した→その物質(治療法)が効いた
というのは、最も出来の悪い研究デザインで「三た論法」といいます。
「この治療法で多くのヒトが治ったと言っている」と言われても
説得されないでください。
対照群がない研究は意味がありません。
その治療法が効かなかった人は、どんどん脱落していってしまうので、
統計の数字に入らないのです。
「効果があった」というデータだけを集めても、元々バイアス(歪み)が入ったグループですから、効果の実証にはなりません。
ちゃんと実験法・研究法を学んでこなかった人は、こうした安易な研究デザインで結論を出そうとしてしまいます。
精神(心理)療法は厳密な実験デザインをとることが難しく、
エビデンスはグレーゾーンにあります。(ちゃんとエビデンスを示した研究論文も出てきていますが)
ですので、臨床心理士がやっているから、とか、効果があると言われたからとかだけで
100%信用しないようにしてください。
「効果はあると思う、人によっては…」これくらいの謙虚さでやっていかないと。
絶対効く!と言われたら怪しいです。
科学的思考に100%はありません。
例えば、今話題のバナナによるダイエット法ですが、
「バナナを食べた」ということと「痩せた」という事実の間にはいまのところ「相関関係」しか言えないと思うのですが、
「因果関係」があるかのような、報道、受け取り方をしてしまうからおかしいのです。
「バナナを食べた」と「痩せた」という2つの事実の間にはいくつもの要因が関与しているはずなのですが、あたかも「バナナを食べた」から「痩せた」のだと1つの要因に絞られてしまっています。
前回も書きましたが、人間て「相関関係」のあやふやさに我慢できず「因果関係」に飛びついちゃうんですね。
しかし、しばしば大学名や肩書きが立派でも怪しい健康情報を発信していることがあり、
どうしたら確かめられるのだろう…とお悩みの方にこちらのサイト推薦します。
■健康情報の読み方
http://www.page.sannet.ne.jp/onai/main.html
お子さんのアトピーに悩んでいらっしゃるお母さんは多いと思います。
私の周辺にも沢山います。
そうすると善意なんだけど「ステロイドは怖いからやめた方がいい」と言ってくれる人がいるのですが、その人も情報をちゃんと確かめず、アトピービジネスの片棒を担いでしまっています。
ステロイド剤を使う治療=危険 は古い誤った情報です。
そんな情報を聞いたら、まずはこのブログを読んでください。
■燃える皮膚科医のスキンケア・カフェ2
〜みんなの納得するアトピー治療を目指して〜
http://skinnext.cocolog-nifty.com/blog/
また、お子さんに安全な食べ物をというのは、お母さん方にとって切実な願いだと思いますが、「食育」というキーワードで危険な代替医療の情報が報道されることがしばしばであるという話。
■食品安全blog 雑記-「食育」
http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20080927
心やからだに関することは、
重大な健康被害に結びつくこともあるので、
善意であっても安易に自分の体験や感覚で人にすすめるのはやめた方が良いと思います。
私達にとって、身近な話題だと思いますので、
是非クリックして読んでみてください。
というわけで、参加してくださった皆様、本当にありがとうございました。
また、お会いできるのを楽しみにしていますので、いつでも声をかけてくださいね。
※次回からの内容について
とりあえず、自分でネタを考えてみました![]()
●夏目漱石と正岡子規の病跡学
夏目漱石の文学は正岡子規との出会いから。
夏目漱石の俳句とは?
漱石と子規の絶妙な組合せ-分裂気質者と循環気質者
●介護以前の親の心理を理解しよう
こころとからだの変化
私たちは親を「過保護」にして独立した人格を認めていないのでは?
老年期の親へのステレオタイプを見直そう
親の心理にどのように対応すればいいのか、考えよう
●思考の不思議
予知夢・マーフィーの法則・シンクロシニシティ・確率推論・認知と思考・サブリミナル効果・「見えちゃった」・迷信(因果関係と相関関係)
●記憶の不思議
UFO・目撃証言・ストレスと予期・誘導尋問・デジャビュ・幼児期健忘
●影響されるこころ
権威・同調・マスメディア・説得・カルトマインドコントロール・うわさ
●感情の不思議
悪質商法・なぜだまされるのか・α波ミュージック・感情はどうしてある?
●こどもが不思議なものに惹かれるわけ
ピアジェ・アニミズム・魔術的思考・ふり遊び・科学的世界とファンタジー・科学的思考の難しさ・「エルマーの冒険」
●こころと脳の不思議
こころと脳・金縛り体験・脳波・感覚遮断実験・霊能力者・免疫・自然治癒・ガン・右脳
●ある「気功実験」からわかること-科学という思考様式
実験計画・統制・誤差・奇跡的治癒・偽薬効果・検定・血液型性格学や占星術の統計データ・平均値の罠・神秘的思考への誘惑・超心理学・科学と非科学
●「うつ」をあらためて考える
うつのサイン
こころとからだの症状
周りから見た「うつ」
一時の落ち込みと「うつ病」との違い
うつ病の周辺
ライフイベント・性格
うつ病の治療(薬物・入院・精神療法)
回復までのステップ
家族が心がけること かけてはいけない言葉/かけたい言葉
死にたくなったら…
仕事への復帰
新型うつ病?
クローズアップされる双極Ⅱ型性障害
●怒りとうまく付き合うためのトレーニング
サイコエデュケーションプログラムの考え方
小中高校での実践(DVD)
劇「怒りの日」をみんなでやってみよう
●思春期のこころ
Active Pearentingの立場から
「思春期」とは/親として出来ること/子どもを理解する/勇気を育てる/問題解決のために/親子のコミュニケーション/家族の絆
不登校/いじめ/非行/家庭内暴力/虐待/煙草、アルコール、薬物/性の問題/こころの病気、自殺/夫婦不和/親離れ、子離れ
親と子の心のカルテ 小児科カウンセラーの立場から
子どもと家族/こころのカルテ/子ども相談/子ども発達とイメージ/子どもの発達のみかた
●ケアを受ける人のこころを理解する
こころの特性の理解(現実検討・人間関係・感情コントロール・自己愛・防衛機制・診断と理解の違い)
ケアを受ける人たちの感情(不安・落胆・挫折感・羨望・被害感・怒り・悲しみ・羞恥心・安心感・感謝)
理論(退行・喪失体験・ハンディキャップとスティグマ・病人の役割・疾病利得)
転移-親との関係の再燃-
介護が必要なひとたち(高齢者・認知症・身体障害・精神障害・子ども・ターミナルケア)
特別な態度へのかかわり(ケアを拒む・過剰に依存する・体にこだわる)
こころのサインと対処(うつ・躁的防衛・不安障害・睡眠障害・せん妄・妄想)
ちょっと自分で気になっていることをメモしてみました。
順番に意味はありません。
キーワードだけ乱暴に並べてあります。
ご自分の興味があることを、是非リクエストしてください。
上にあげてあるもの、ご自分で思いつかれたキーワード、
なんでも結構ですので、ご連絡下さい。
とりあえず、次回(10月15日)はここのところ、堅い話題が続いていたので、
「夏目漱石と正岡子規の病跡学」をお話ししてみようかと思っています。
これについても、ご意見お待ちしております。
お待ちしてます![]()
■上野の森をかもします!
こころのところ、私が凝っている『もやしもん』の菌類が、とうとう上野の国立科学博物館に進出!
『もやしもん』は我々の世界が菌類の活躍の上に成り立っているという、
農学とかバイオとか、先端の科学をおもしろおかしく学べてしまう、
とってもキュートでお茶目なマンガです。
お味噌やお醤油や、ヨーグルトがどうしてできるかご存じですかぁ?
天然酵母って厳密に考えるとちょっと変だというもの、これ読むと分かってきます。
ちゃんと人間が管理しないとダメなはずなんですよ。
■国立科学博物館『菌類のふしぎ きのことカビと仲間たち』http://www.tbs.co.jp/kinruiten/contents/top/index-j.html




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